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相続財産 評価方法贈与財産 評価方法
相続・贈与財産の評価方法について
相続財産や贈与財産の評価は、相続税法22条で財産を取得した時の「時価」と規定されています。
実務上は、時価の解釈で混乱しないように国税庁の「財産評価基本通達」で評価した金額を時価として、相続税や贈与税が計算されます。本記事では、この財産評価基本通達について解説します。
時価の定義
財産評価基本通達1(2)において、「時価とは、課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、財産評価基本通達の定めによって評価した価額による」と定義されています。
宅地の評価
- 市街地的形態を形成する地域にある宅地 ⇒ 路線価方式(路線価で評価)
- 上記以外の宅地 ⇒ 倍率方式(固定資産税評価額で評価)
- 借地権 ⇒ 自用地評価額×借地権割合(30%~90%)
- 貸家建付地 ⇒ 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※自用地評価額とは、路線価方式または倍率方式で評価した評価額をいいます。
家屋の評価
- 家屋 ⇒ 倍率方式(固定資産税評価額で評価)※評価倍率1.0
- 貸家 ⇒ 家屋の評価額×(1-借家権割合30%×賃貸割合)
- 建築中の家屋 ⇒ 費用現価×70%
- 門、塀 ⇒(再建築価額-減価の額)×70%
- 庭園設備 ⇒ 調達価額×70%
一般動産の評価(例)車両、家具、書画、骨董、器具、備品など
- 売買実例価額、精通者意見価格等が明らかなもの ⇒ その参酌価額等
- 上記以外のもの(不明なもの)⇒ 同種・同規格の小売価額-減価の額
預貯金の評価
- 預貯金 ⇒ 預入高+既経過利子の額-源泉所得税相当額
上場株式の評価
- 課税時期の最終価格(終値)
- 課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
- 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
- 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
- ①~④のうち最も低い価額
取引相場のない株式の評価
- 支配株主 ⇒ 原則的評価方式(類似業種比準価額、純資産価額)
- 少数株主 ⇒ 配当還元価額方式
ゴルフ会員権の評価
- 取引相場あり ⇒ 課税時期の通常の取引価額×70%
まとめ
本記事では、一般的な財産の評価方法について概略を解説しました。実務では、財産評価の前提となる資料の収集から評価方法の選定まで、高度なスキルが必要になります。相続税の申告は、STCへ是非ご相談ください。