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非上場株式等についての納税猶予の特例について
中小零細企業経営者の高齢化に伴い、相続・事業承継が大きな社会問題になる中、税制面で円滑な事業承継を助け、我が国における経済活性化を支援するために、非上場株式等についての相続税および贈与税の納税猶予制度(法人版事業承継税制)が設けられています。本記事では、非上場株式等についての納税猶予の特例について概略を解説します。
中小企業経営承継円滑化法
法人版事業承継税制の適用に当たっては、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(中小企業経営承継円滑化法)」に基づく認定等が必要となりますが、認定等に係る申請書・報告書の提出に関する窓口・問い合わせ先は、都道府県の担当課になります。
贈与税の納税猶予の特例
後継者である受贈者が、中小企業経営承継円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税について、一定の要件のもと、その納税が猶予され、後継者の死亡等により納税が猶予されている贈与税の納付が免除される制度です。
相続税の納税猶予の特例
後継者である相続人等が、中小企業経営承継円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を相続または遺贈により取得した場合において、その非上場株式等に係る相続税について、一定の要件のもと、その納税が猶予され、後継者の死亡等により納税が猶予されている相続税の納付が免除される制度です。
一般措置と特例措置
この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があり、特例措置については、事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。
まとめ
非上場株式等についての相続税および贈与税の納税猶予の適用を受けるためには、申告期限内に申告書を提出し、かつ担保を提供する必要があります。
また、この制度は、企業経営が事業承継され引き継がれることを前提に納税を猶予しているため、企業経営を途中で止めてしまうと猶予されていた本税(相続税または贈与税)に加えて、利子税を納付しなければなりません。
非上場株式等についての納税猶予制度の活用をご検討中の方は、相続税専門のSTCへ是非ご相談ください。