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相続税の納税がなくても申告をするケース
亡くなった方(被相続人)の遺産を相続する方のうち、9割以上には相続税が発生しないと言われています。
しかし、相続税の納税がなくても申告をしなければならないケースがあり、無申告の場合には控除や特例が受けられなくなるばかりか、加算税や延滞税のペナルティを受ける可能性もがあります。
本記事では、相続税の支払いがなくても申告が必要なケースを、申告が不要なケースとあわせて解説します。
相続税の支払いがなく、申告も不要なケース
遺産の課税価格(相続するプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた金額)が基礎控除額の範囲内であれば、相続税の納税は発生せず、申告も不要です。基礎控除とは相続税における非課税枠のことで、次の計算式により算出されます。
また、遺産の課税価格が基礎控除額を超えてしまう場合でも、以下の控除を適用することによって課税価格が0円になる場合は、申告も不要となります。
<申告義務のない相続税の控除>
● 未成年者控除
● 障がい者控除
● 相次相続控除
● 外国税額控除
相続税の申告をしないと適用を受けられない代表的な2つの控除・特例
遺産の課税価格が基礎控除額を超えてしまうものの、上記に挙げたもの以外の控除や特例を適用することによって、相続税の支払いがなくなるケースもあります。
しかし、以下2つの控除・特例を適用するためには、相続税の納税がなくても申告が必要になります。
逆に言えば、申告をしない限り控除や特例を受けられない(相続税の支払いが発生してしまう)可能性があるため注意が必要です。
配偶者の税額減控除(相続税の配偶者軽減)
被相続人の配偶者が利用できる控除です。
配偶者の税額控除を適用すると、配偶者の相続財産に関しては、「1億6,000万円」または「法定相続分」の、いずれか多い方の金額までは相続税がかかりません。
そのため、被相続人の配偶者は相続税を支払わなくて良い場合がほとんどですが、適用を受けるためには期限内に遺産分割協議を終了し、申告を終えている必要があります。
小規模宅地等の特例
被相続人が住んでいた土地、事業をしていた土地、事業のために貸していた土地を相続する場合に、一定の要件を満たすことで、相続する土地の評価額が一定の範囲に限り最大で8 0%減額されるというものです。
小規模宅地等の特例の適用によって大幅な相続税の減税が見込めますが、これも適用されるのは期限内に申告を行った場合に限られます。
また、申告に際しては、要件を満たすことを証明する書類の提出が必要です。
まとめ
相続税に関しては、控除や特例がさまざま用意されているため、ご自身が相続される際にどの控除や特例を適用できるのか、適用に際して申告が必要になるのか、迷われることも多いと思います。
相続税の申告をするべきか迷われたり不安に思われたりしたときには、STCへ是非ご相談ください。